マリカのソファー・バリ夢日記/よしもとばなな


マリカが大声で笑ったりしたら、誰かひどい人が急にたたいたり、どなったり、暗がりに連れて行っておしおきすると言ったらどうしよう、と思うのだ。正しく言うと、思うのではなくって、感じる。気持ちがふわっとして解放されそうになると、マリカの中のなにかが、「身を縮めろ!」と命令する。別に何もこわいものがまわりになくても、そういう命令がやってくる。


小さいときの私と余りにも似すぎているのでびっくりして、心臓を掴まれたみたいになった。昔は笑ったり、怒ったり、自分の思うことを言ったり、自分が感情を持つこと自体を何かに禁止されていてそういうことを絶対にしてはいけないと思っていたので、私は本当につまらなくて下らない子どもだった。子どもを生まれておかあさんになられたばなな先生に、もう1回この話を書いてもらいたいと思った。バリ夢日記は、バリの神様や、目に見えないけど存在するものがダイナミックに夢に出てきて羨ましかった。私も実際に行って本物の夢を見てみたい。世界の旅シリーズでこの本が一番好き。